第十七回 名著の世界 −教科書からのアプローチ−

 

展示にあたって

 今回の展示は、本学附属図書館が所蔵する資料の中から、古今東西の「名著」と言われている書物を分野・種類に制限を加えることなく展示した。
 これらの書物には、我々の思想や科学等に大きな影響を与えたものもある。展示した書物の一冊一冊が学習の一助になれば幸いである。

 

1.出雲国風土記(いずものくにふどき)

 

2巻2冊 写本

 元明天皇が和銅6(713)年に諸国に命じ、その国の産物、地名の起原、古
老の伝承などを報告編纂させたもので、現存しているのは出雲・播磨・常陸・
豊後・肥前の5ヶ国のものである。出雲国風土記は天平5(733)に成立した
ものである。本書は天明7(1787)年に書写されたものである。
 

2.日本書紀(にほんしょき)

 

26巻12冊 刊本

 天武天皇の国史編纂の計画のもと、舎人親王、太安万侶らが編纂した官撰
国史の最初のもので養老4(720)年に成立したものである。神代のはじめか
ら持統天皇に至るまでの編年体の歴史書で、天皇の系統・治積を中心に、国
際関係、国内の状況などを漢文で記してある。本書は江戸後期(1800年)頃刊
行されたものである。
 

3.日本霊異記(にほんれいいき)

 

3巻1冊 写本

 薬師寺の僧、景戒によって漢文で書かれた仏教説話集であり、弘仁13(822)
年頃成立した。雄略天皇から嵯峨天皇の頃までの神仏妖怪などに関する話が
集めてあり、因果説話が最も多い。これらを通して仏教的な因果応報の理を
知らせ民衆を教化するのが目的であった。本書は延宝8(1680)年に書写され
たものである。
 

4.竹取物語(たけとりものがたり)

 

2巻2冊 刊本

 作者は不明であり、9世紀末頃に成立したと考えられる。おとぎ話的な親
しみをもち単に物語の祖・仮名文学の祖としてのみでなく国文学史上注目す
べき名作の1つである。本書は元禄5(1692)年に刊行された絵入本である。
 

5.伊勢物語(いせものがたり)

 

1冊 写本

 作者・成立とも不明である。各篇とも「昔男ありけり」で書出し、歌を主
とした小話の集成である。本書は見返に「北村季吟翁真筆…」とあるが季吟
(江戸時代の国文学者)が書写したとの確証はない。
 

6.土佐日記(とさにっき)

 

1冊 刊本

 紀貫之の作で、承平5(935)年頃成立した。貫之が土佐守解任ののち、帰
京のため承平4年12月21日国司の館を出発、大津から乗船、和泉を経て淀川
を上り翌年2月11日に山崎に着き16日京に着くまで55日間の舟旅の日記であ
る。本書は寛永20(1643)年に刊行されたものである。
 

7.古今和歌集(こきんわかしゅう)

 

1冊 刊本

 延喜5(905)年、醍醐天皇の命をうけ、紀友則、紀貫之、凡河内躬恒、壬
生忠岑が撰者となり、勅撰和歌集のはじめとして、万葉集以後その時代まで
の歌(歌数約1100首)を撰上した。本書は文政元(1818)年に刊行されたもの
で「掌中」とあるように版を小さくして発行したものである。
 

8.和名類聚鈔(わみょうるいじゅうしょう)

 

5巻5冊 刊本

 醍醐天皇の皇女勤子内親王の命により931〜937頃源順によって編纂された
漢和字書である。本書は江戸後期に刊行されたものである。
 

9.後撰和歌集(ごせんわかしゅう)

 

1冊 写本

 天暦5(951)年村上天皇の命により、源順ら5人によって集められた勅撰
和歌集である。歌数約1400首であり、「古今集」「拾遺集」と共に「三代集」
とよばれている。本書は文明9(1477)年頃に書写されたものである。
 

10.拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)

 

1冊 写本

 勅撰和歌集で、撰者は不明である。長徳2(996)年頃成立した。歌数は約
1350首で、「万葉」から「後撰集」にかけての歌人を網羅している。拾遺の
書名が示すように、古今・後撰両集のおちを拾うことを目的にしている。本
書は江戸初期(1600年代)に書写されたものである。
 

11.枕草子(まくらのそうし)

 

1冊 写本

  清少納言の作であり、長徳元(995)年〜長保3(1001)年の間に成立したと
考えられる。王朝女流文学の代表作であり、散文学における新ジャンルをひ
らくものとして、後世に与えた影響は大きい。本書は加賀藩前田家に任えた
中村久越が江戸初期に写したもので、加賀藩の古典研究の一端を知ることが
できる。
 

12.蜻蛉日記(かげろうにっき)

 

5冊(下巻欠) 刊本

 藤原道綱の母の作で、安和2(969)年ころから天禄3(972)年ごろに書きつ
いだと考えられる。藤原兼家との馴れそめから、1子道綱を生むまでの恋愛
の経緯をつづったもので、女性の日記のはじめのものである。本書は1750年
頃刊行されたもので、それに契沖の書入を萩原宗固が書写したものである。
 

13.往生要集(おうじょうようしゅう)

 

3巻3冊 刊本

 源信の作であり、寛和元(985)年に成立。仏教文学書であり、念仏往生の
入門書でもあった。日本浄土教に不滅の位置をもつ画期的著作である。本書
は江戸後期に刊行された絵入本である。
 

14.宇津保物語(うつぼものがたり)

 

20巻3冊 刊本

 作者は源順という説など種々あるが不明である。成立は10世紀後半頃とさ
れている。内容は3部に分れ、第1部は仲忠を中心とした音楽伝承の伝奇的
物語、第2部はあて宮を中心とする求婚物語、第3部は二皇子の立太子をめ
ぐって、正頼・兼雅左右両大臣の政治上の実権争いが描かれている。本書は
1800年頃刊行された絵入本である。
 

15.落窪物語(おちくばものがたり)

 

6巻6冊 刊本

 作者は未詳である。宇津保物語よりやや後、10世紀後半に成立。「継子い
じめ」を取扱った物語としては我国最古のものである。本書は寛政11(1799)
年に刊行されたもので、伊藤光中が賀茂真淵らの諸説を書入れたものである。
 

16. 今昔物語(こんじゃくものがたり)

 

30巻30冊 刊本

 平安末期の説話集で、古くから源隆国の作とする説が有力である。仏教的、
教訓的色彩が強い説話集であり、本書は平安末期の武士や庶民の思想や風俗、
国語の研究資料として貴重なものである。本書は享保18(1733)年に刊行され
た絵入本である。
 

17.平家物語(へいけものがたり)

 

12冊 刊本

 作者・成立ともに不明である。平家一門の勃興から没落までの全過程を語
られた軍記物語である。この物語は後の軍記物語はもちろん、後代の文学に
大きな影響を与えた。本書は寛永3(1626)年に刊行されたものである。
 

18. 源氏物語(げんじものがたり)

 

54巻29冊 写本

 紫式部(異説もある)の作であり、寛弘(1004〜1011)頃(異説が多い)成
立した。光源氏を主人公として、京都中心の華やかな恋愛生活が描かれた女
性中心の物語と、源氏の後継者である薫大将と匂宮を主人公とした恋と宗教
の物語が展開される。この物語は日本古典文学の最高峯として仰がれている。
本書は室町時代末期に書写されたものである。
 

19.和泉式部日記(いずみしきぶにっき)

 

1冊 写本

 古くから和泉式部の自作といわれているが、近年他作説もある。寛弘4
(1007)年前後に成立した。帥宮敦道(そちのみやあつみち)親王との恋愛を
第三者的に物語風に記したもので、王朝女流日記文学中でも傑出した作品で
ある。本書は江戸初期に書写されたものである。
 

20.紫式部日記(むらさきしきぶにっき)

 

2冊 刊本

 紫式部の作であり、寛弘5(1008)年7月〜寛弘7年1月の間の後宮の公私
の行事・生活を描写している。本書は「群書類従」として江戸後期に刊行さ
れたものである。
 

21.和漢朗詠集(わかんろうえいしゅう)

 

2巻2冊 写本

 藤原公任撰による、漢詩590句、和歌220首を収めたもので、長和2(1013)
年頃成立した。後世の我国の文学に引用され、諸書への影響は大である。本
書は森鷗外著「渋江抽斎」で知られた江戸時代の儒学者・医学者であった渋
江柚斎の旧蔵本で、江戸初期に書写されたものである。
 

22.更級日記(さらしなにっき)

 

1冊 写本

 菅原孝標(たかすえ)の娘の作で、作者が13歳(寛仁4=1020)の9月、父
の解任と共に上総(現千葉県)を出発、京都に上る紀行に始まり、京の生活、
恋愛など女の一生をしるし、51歳で夫と死別までを記したものである。本書
は貞享元(1684)年に写されたものである。
 

23.三十六人集(さんじゅうろくにんしゅう)

 

36冊 写本

 11世紀頃36人の家集を集めた私家集集成である。後世の和歌の手本として
使われ、これをまねて種々の家集集成がくわだてられた。本書は江戸初期に
書写されさものである。
 

24.栄華物語(えいがものがたり)

 

41冊 写本

 作者および成立については定説がないが、11世紀初期頃に成立したものと
思われる。宇多〜掘河天皇の15代約200年間、御堂関白道長の栄花を中心と
した物語である。本書は江戸中期頃に書写されたものであり、奈良絵本とよ
ばれるもので彩色がほどこされた美本である。
 

25.大鏡(おおかがみ)

 

8巻8冊 刊本

 作者は数説あり明らかでないが摂関家(藤原氏)に反撥する教養層の手に
なると推定され、成立時期も「栄花物語」以後という以上は不明である。文
徳天皇(850)の代から後一条天皇(1025)まで天皇14代176年の物語体の歴史書
でもある。後続の歴史物語の型を定め、新しい歴史文学を生み出すことがで
きた。本書は天保15(1840)年に刊行されたものである。
 

26.新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)

 

4冊 刊本

 後鳥羽院の命によって藤原定家等の撰による勅撰和歌集である。建仁元
(1201)年に和歌所が再建、3年4ヶ月を経て成る。本書は延宝2(1674)年に
刊行されたものである。
 

27.方丈記(ほうじょうき)

 

1冊 刊本

鴨長明の作で建暦2(1212)年に成立。世の中の不安な生態を書き出した前
半と、自身の家系、環境、隠者としての大原山、日野山草庵での生活を叙述
する後半からなっている。本書は正保4(1647)年に刊行されたものである。
 

28.海道記(かいどうき)

 

2巻2冊 刊本

 作者は未詳であるが、貞応2(1223)年頃成立した紀行文学である。作者が
京都から鎌倉へ旅立つ事情、東海道の風物や故実を説明し鎌倉に着き、さら
に帰洛するまでを綴ったものである。本書は寛政6(1794)年に刊行された絵
入本である。
 

29.十六夜日記(いざよいにっき)

 

1冊 刊本

 阿仏尼の作であり、夫の死後3年目継子の為氏と実子の為相が領地争をお
こした。そこで弘安2(1279)年鎌倉幕府に訴訟のため京よりくだった時の日
記である。本書は万治2(1659)年に刊行された絵入本である。
 

30.徒然草(つれづれぐさ)

 

2巻2冊 刊本

 吉田兼好の作で元徳2(1330)年末から、翌年秋までの間に成立した。作者
がさまざまな題材をとらえて綴った感想や論弁の長短多彩の作品集である。
本書は寛文(1670)年に刊行されたものである。
 

31.節用集(せつようしゅう)

 

2冊 刊本

 原著は僧侶らしく、室町中期ごろ成立したらしい。江戸時代まで何回も改
訂が重ねられた。ことばからそれにあてはまる漢字を求める通俗辞典である。
本書は江戸初期に木活字によって印刷されたものである。
 

32.新操菟玖波隻(しんせんつくばしゅう)

 

5冊 写本

宗祗の撰による連歌撰集であり、明応4(1495)年に成立した。天皇、公家、
武家、僧侶、庶民に及ぶ250人あまりの附句・発句2000余句をあつめている。
本書は寛永10(1633)年頃鳥丸光広によって書写されたらしい。
 

33.蘭学階梯(らんがくかいてい)

 

2冊 刊本

 わが国最初の蘭語学入門書。天明8(1788)年に刊行された。江戸蘭学勃興
期に前野良沢についてオランダ語を修めた大槻玄沢の著。蘭学を学ぼうとす
る学徒のために、蘭語学の基本的事項や学習法について初心者向きにまとめ
られている。広く普及し版を重ねたため異版が多い。
 

34.東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)

 

25冊 刊本

 十辺舎一九(じっペんしゃいっく)作。享和2(1802)〜文化6(1809)年に
刊行された。弥次郎兵衛・喜多八の2人達れが、東海道を見物しながら、伊
勢参宮から京都、大阪に至るまで、失敗、洒落や冗談、狂歌の即吟などをお
もしろおかしく書きたてたもの。本書は文化・文政頃に刊行されたものであ
る。
 

35.偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)

 

19冊 刊本

 柳亭種彦作、文政12(1829)〜天保13(1842)年に刊行された。「源氏物語」
の草双紙的翻案書で、舞台を室町時代に、山名宗全・細川勝元の闘争を背景
として光氏の恋愛行脚を綴っている。歌川国貞の挿絵も華麗なものである。
 

36.舎密開宗(せいみかいそう)

 

7冊 刊本

 宇田川榕菴(うだがわようあん)の訳者による日本最初の体系的化学書で
内編6編全18巻外編1編全3巻の計21巻から成る。1837年(天保8)から約10
年かけて出版されるが未完の書である。舎密とはオランダ語で化学(Chemie)
の音訳。テキストはW.ヘンリ(イギリス)のAn epitome Of chemistry(2nd
ed.1801年刊)のドイツ語訳増補したもの(1803年刊)をさらにオランダ語訳
増補したものである。ラボアジェ化学体系を理論的骨格とし、その後の日本
の化学の基礎となった。
 

37.学問のすヽめ

 

1冊 活字本

 福沢諭吉の主著の一つとしてあまりにも有名である。1872年(明治5)か
ら1876年までに17の独立した小冊子として刊行さたが、80年に合本となる。
西欧の文物・思想を導入する際、盲目的に崇拝することは日本の真の文明化
とはならないと説く。本書は明治13年に再版されたもので「文明論之概略」
とともに明治初年の啓蒙思想を代表する傑作である。
 

38. 「聖書」

     Bible.

 

A noble fragment being a leaf of the Gutenberg Bible, 1450-1455,
(with a bibliographical essay by A. Edward New York, 
Gabriel Wells, 1921) 1 leaf.

 本書は活版印刷を発明したとされるドイツのグーテンベルクが印刷したラ
テン語聖書の一葉である。
 

39.ホメロス「イリアス・オデュッセイア」

    Homeros.

 

Opvs vtrvmqve Homeri Iliados et Odysseae,diligenti opera Iacobi
Micylli & Ioachimi Camerarii recognitum. Basileae,apud Io.Hervagium,
1541.

 ホメロスはギリシアの叙事詩人。本書「イリアス」、「オデュッセイア」
の二大詩は、最初のギリシア文学であり、また最大の傑作。ギリシア時代を
通じて最も広く学ばれ、またギリシア人の擬人的神観と人間観との形成に貢
献した。
 

40.へロドトス「歴史」

    Herodotos,B.C.ca.484−ca.425.

 

Historiae libri IX:et de vita Homeri libellus.Francofvrti,Apud
heredes Andreae Wecheli,1594.

  ヘロドトスはギリシア最初の歴史家。本書はペルシア戦争の前史から終結
まで扱うと共に、当時の世界中の民族の宗教、慣習、経済、動植物、綺譚に
も及び史料として又文学作品としても価値が高い。
 

41.イソップ「寓話」

    Aesopus,ca.B.C.6th c.

 

The fables,of Aesop,with a life of the author;and embellished
with one hundred & twelve plates.London,Printed for John Stockdale,
1793.2 vols.

 イソップはギリシアの寓話作者。彼の生涯は明らかではない。寓話集は前
300年頃アレクサンドレィアで集成された。我国では「イソップ物語」「イ
ソップ童話」などとして親しまれている。
 

42.ユークリッド「原論」

    Eukleides,ca.B.C.300

 

Elementorvm libri XV.vna cum scholijs antiquis.A Federico
Commandino vrbinate nvper in Latinvm conuersi,commentarijsque
quibusdam illustrati.Pisavri,Apvd Camjllvm Francjschjnvm,1572.

 本書はギリシア幾何学の大成者ユークリッドの主著「原論」で、コマンデ
ィーノのラテン語訳である。16世紀において最も正確で学問的翻訳とされ、
現代に到るまで翻訳の基本になっている。
 

43.シーザー「ガリア戦記」

    Caesar,C.Julius,B.C.102−44.

 

De bellis Gallico et civili Pompejano,nec non A.Hirtii,aliorumque
De bellis Alexandrino,Afiricano,et Hispaniensi.Lugd.Bat., aqud
Samuelem Luchtmans,1737.

 シーザーはローマの政治家、武人。本書の描写は簡潔にして雄渾。文学と
してもすぐれているとともに、ガリア人、ゲルマン人の歴史研究に貴重な史
料である。本書には、ポンペイウスとの戦いを誌した「内乱記」が含まれて
いる。
 

44.プリニウス「自然誌」

    Plinius Secundus,C., 23−79

 

Natvralis historiae prima[-teria] pars.[Venetiis,in aedibvs
haeredvm Aldi et Andreae Asvlani Soceri] 1535−38.4vols.

 プリニウスはローマの政治家、著述家。本館所蔵本は最も初期のイタリッ
ク体活字によるアルド版である。
 

45.トマス・アクイナス「神学大全」

    Thomas Aquinas,1225?−1274

 

Summa theologiae secundae parts pars secunda.Venetiis,
Joh.de Colonia and Johann Mauthem de Geretzheim,1480.

 トマス・アクイナスはイタリアのスコラ哲学者、神学者。アリストテレス
哲学をキリスト教思想に調和させ、自然と啓示、理性と信仰を統一して中世
スコラ哲学を完成させた。本書は15世紀に刊行された彼の主著「神学大全」
である。

46.ボッカチオ「デカメロン(十日物語)」

    Boccaccio,Giovanni,1313−1375.

 

Il Decamerone di m.Giovanni Boccaccio emendato secondo gli antichi
essemplari,per giudicio & diligenza di piu autori,di nvovo ristam−
pato & con somma diligenza & studio corretto,& in piu luoghi
reuisto.In Vinegia Appresso Gabriel Giolito Ferrari,1550.

 ボッカチオは、イタリアの文学者。本書は、女7人、男3人が毎日1人1
話ずつ10日間に話した100篇の物語から成り、中世の終末と、近代の人間開
放を告げる最初の作品の一つである。人文主義精神に貫かれ、あらゆる社会
層の人物が登場し、ある意味では新興市民層による中世的特権階級への批判
ともいわれる。
 

47.シェークスピア「シェークスピア全集」

  Shakespeare,William 1564−1616.

 

The works of Mr.William Shakespear,in six volumes.Revis'd and
corrected,with and account of the life and writings of the author,
by N.Rowe.London,Printed for Jacob Tonson,1709. 6 vols.

 シェークスピア全集は今日まで数多く出版されてきたが、最初のものは
1623年である。本書は、1709年、イギリスの劇作家N.ローにより、初めて近
代的に編集刊行された全集である。
 

48.ホッブス「リヴァイアサン」

    Hobbes,Thomas,1588−1679,

 

Leviathan,or The matter,form,and power of a common-Wealth
ecclesiastical and civil.London,Andrew Crooke,1651.

 ホッブスは市民革命期イギリスの代表的政治思想家。本書は亡命中にフラ
ンスで執筆され、革命政権下のイギリスで出版された。4部から成り、第2
部において、人類の自然状態を表わすのに「万人対万人の戦争状態」という
有名な言葉で述べている。
 

49.ラ・フォンテーヌ「寓話詩」

    La Fontaine,Jean de,1621-1695. 

 

Fables novvelles,et autres poesies.A Paris,Chez Denys Thierry,
1671.

 ラ・フォンテーヌはフランスの詩人。柔軟自在の詩句を駆使し寓話のジャ
ンルを完成した。本書は彼の代表作であり、フランス人に最も親しまれてい
る寓話詩集である。
 

50.ロック「人間悟性論」

    Locke,John,1632−1704.

 

An essay concerning humane understanding.2d ed., With large
additions.London,Printed for Awnsham and J.Churchil,1694.

 ジョン・ロックはイギリスの哲学者・政治思想家で経験論の代表者。政治
論では、専制政治に反対、国民の自由と政治的秩序との調和を論じ三権分立
を主張した。本書は、初版においては快楽主義の傾向が強いが、第2版以降
では、道徳規範の客観性及び、キリスト教信仰との調停を試みている。
 

51.スウィフト「ガリヴァー旅行記」

    Swift,Jonathan,1667−1745.

 

Travels into several remote nations of the world;by Lemuel
Gulliver,first a surgeon,and then a captain of several
ships.London,Printed for C.Bathurst,1768.(The works of Dr.
Jonathan Swift,vol.2)

 スウィフトはイギリスの作家。本書はイギリス文学中随一の諷刺作品で
あり、主人公が小人国、大人国、変物の国および馬の国を訪れる4篇から
なっていて、当時の社会と人間を痛烈に諷刺している。
 

52.ニュートン「自然哲学の数学的原理」

    Newton,Sir lsaac,1642−1727.

 

Philosophiae naturalis principia mathematica.Perpetuis commentariis
illustrata,communi studio pp.Thomae Le Seur & Francisci Jacquier.
Barrill & Filii Bibliop., 1739−1742.3 vols.

 ニュートンはイギリスの物理学者、天文学者、数学者。本書は微積分法の
概念、力学の原理、引力の法則、流体、太陽遊星の運動から潮汐の理論まで
が系統的に述べられており、「ニュートン力学」の体系が世に示されたもの
である。
 

53.モンテスキュー「法の精神」

  Montesquieu,Charles de Secondat,Baron de la Brede et de,1689−1755.

 

De l'esprit des loix,ou Du rapport que les loix doivent avoir avec
la constitution de chaque gouvernement,les moeurs,le climat,la 
religion,le commerce,&c.A quoi l'auteur ajoute.Geneve,
Barrillot,〔1748〕2 vols.

 モンテスキューは、フランスの哲学者・政治学者。法の精神は、モンテス
キューの主著であり、歴史哲学的著作である。本書の歴史的意義は、イギリ
ス憲政の紹介、特に権力均衡論としての三権分立論の主張にあり、これはア
メリカ合衆国憲法の制定を始め、のちの政治及び社会思想に多くの影響を与
えた。
 

54.ルソー「社会契約論」

    Rousseau,Jean Jacques,1712−1778.

 

Du contrat social;ou Principes du droit politique.Edition Sans
Cartons,a laquelle on a ajoute une lettre de l'auteur au seul ami
qui lui reste dans le monde. Amsterdam,Marc−Michel Rey,1762.

 ルソーはフランスの作家・啓蒙思想家。民主主義理論を唱えて大革命の先
駆をなした。本書は人間の平等を基盤にした社会をどのようにして創出する
かを論じたもので、その影響はフランス革命から現代のカストロによるキュ
ーバ革命にまで及んだ。
 

55.「ブリタニカ百科事典」

 

Encyclopaedia Britannica,or A dictionary of arts and sciences,
compiled upon a new plan.By Society of Gentlemen in Scotland.
Edinburgh,Printed for A. Bell and C.Macfarquhar,1771.3 vols.

 世界的に有名な英語の百科事典。本書は初版であり、それまでの百科事典
と異なり、科学の原理を体系的に叙述することを試みている。
 

56.スミス「国富論」

    Smith,Adam,1723−1790.

 

An inquiry into the nature and causes of the wealth of nations.
London,Printed for W.Strahan;and T.Cadell,in the Strand,1776.
2 vols.

 アダム・スミスはイギリス(スコットランド)の経済学者、道徳哲学者。
経済学を体系化した始祖と認められている。グラスゴー大学で道徳哲学を講
じ、ヨーロッパ各国を旅行した後、経済学上最大の古典とされている本書を
刊行した。
 

57.カント「純粋理性批判」

  Kant,lmmanuel 1724−1804.

 

Critik der reinen Vernunft.Riga,J.Fr.Hartknoch,1781.

 カントは、ドイツの哲学者。デカルト的大陸合理主義哲学とイギリスの経
験論哲学を総合し批判哲学を確立。本書は彼の主著「純粋理性批判」の初版。
 

58.「エジプト誌」

 

Description de l'Egypte,ou, Recueil de observations et des recherches
qui ont ete faites en Egypte pendant l'expedition de l'armme
francaise,publie par les ordres de Sa Majeste l'Empereur Napoleon
le Grand.Paris,Imprimerie imperiale,1809−1822.15 vols.

 ナポレオンはエジプト遠征出発に当たりフランス学士院に協力を求め、175
人の学者、製図家、画家を同行して各種の調査、研究に従事させた。本書は
その集大成であり、博物、現況、遺物の3部から成っている。有名なロゼッ
タ石のコピーもこのうちに含まれ、後年シャンポリオンの解読のかぎとなっ
た。
 

59.ダーウィン「種の起源」

    Darwin,Charles,1809−1882.

 

On the origin of species,by means of natural selection,or the
preservation of favoured races in the struggle for life. London, John
Murray,1859.

 ダーウィンはイギリスの博物学者、進化論者。本書「種の起源」は、各地
の博物学的観察で生物進化の信念をえて刊行し、生物進化の事実を提示し、
自然淘汰説を樹立した。「人間の由来と雌雄選択」など動物学、植物学なら
びに人類についての研究の著作を多く残した。
 

60.ディケンズ「二都物語」

   Dickens,Charles,1812−1870.

 

A tale of two cities.London,Chapman & Hall,〔18--?〕(Charles
Dickens's works)

 ディケンズ自身の体験から、貧者に対する同情に根ざす正義観をもち、人
間と社会の如実な描写を物語の形式で完成した。本書はフランス革命を背景
に二都、すなわちロンドンとパリを舞台にして描かれた歴史小説である。
 

61.ユゴー「レ・ミゼラブル」

  Hugo,Victor Marie,comte,1802−1885.

 

Les miserables.Paris,J.Hetzel,〔pref.1862〕8 vols.

 ユゴーはフランスの詩人、作家でロマン派の統率者として活躍。本書はユ
ゴーの代表作であるとともに、世界文学の古典とみなされている。「ああ無
情」という訳名でも知られている。
 

62.トウェーン「トム ソーヤの冒険」

  Twain, Mark,1835−1910.

 

The adventures of Tom Sawyer.Hartford,American Pub.,1876.

 マーク・トウェーンはアメリカの作家。初め印刷職工、ミシシッピ河の水
先案内をしていた。その時、聞き慣れた測鉛手の呼び声“mark twain(ふた尋)”
を筆名とした。本書は「ハックルベリー フインの冒険」と共に彼の傑作で
ある。
 

63.ファーブル「昆虫記」

    Fabre,Jean Henri,1823−1915.

 

Souvenirs entomologiques;etudes sur l'instinct et les moeurs des
insectes.Edition definitive illustree.Paris,Librairie Delagrave,
1923−1924.11 vols.

 ファーブルはフランスの昆虫学者。自活・独学で教員免状を修得し、昆虫
の生態研究に専心した。
 

 

 

 

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