第二十三回 日本の詩歌展 −室町時代まで−

 

                                   展示にあたって


 今回の展示は、本学附属図書館が所蔵する資料の中から室町時代頃までに成立した「歌集」を中心に選んだ。
 万葉の時代から日本人は四季折々の自然観や社会観、人間観をうたい続けている。使われる言葉こそ変化しているものの、『うた』の底に流れる日本人の心情は変化せずに現在に至っているのである。これらの詩歌は、日本の文学の根幹としてわが国の学芸を培い、その影響は文化全般に及ぶものといっても過言ではない。この展示が日本文化の理解に、少しでも役立てば幸いである。
 なお、展示の配列は、勅撰集、私撰集、私家集、歌合、連歌、漢詩集の順とし、それぞれを成立順とした。

 

1. 古今和歌集(こきんわかしゅう)

 

写本 一帖

 延喜五年(905) 醍醐天皇の勅命で紀貫之・紀友則・凡河内躬恒・壬
生忠岑が撰者となり編集した最初の勅撰和歌集である。
ニ十巻からなり約1100首を収める。「仮名序」「真名序」の序
文には和歌の本質・歴史など論じており、歌論としてもすぐれている。
本書は室町中期に書写されたもので、他の伝本と異なる本文を持ち、
定家本の本文校訂には欠かせぬ資料である。

 

2. 掌中古今和歌集  (しょうちゅうこきんわかしゅう

 

刊本 一冊

 「掌中」とあるように版を小さくして昇行したもので、本書ほ文政
元年(1818)に刊行されたものである。

 

3. 古今集註(こきんしゅうちゅう)

 

顕昭(けんしょう)著  写本 十冊

 顕昭は平安末期・鎌倉初期の歌人。この註は建久二年(1191)に成立
380首の古今集、詞書などの難語を注釈している古今集注釈書の最
初のものである。
本書は、江戸初期に書写されたものである。

 

4. 三代集(さんだいしゅう)

 

写本 六冊

 古今和歌集・後撰和歌集・拾遺和歌集の三勅撰集を一括して三代集
といい、後代の和歌の理想と考えられ、他の勅撰集と比べ特に尊重さ
れた。
 本書は享保八年(1723)に書写されたものである。

 

5. 三代集

 

刊本 三冊

 本書は寛政十一年(1799)に刊行されたものである

 

6. 後撰和歌集(ごせんわかしゅう

 

写本 一冊

 天暦五年(951)村上天皇の命をうけ、清原元輔、源順、大中臣能宣、
紀時文、坂上望城(この五人を「梨壺の五人」という)によって撰集
された第二番目の勅撰集である。二十巻からなり、約1400首を収
める。素人歌人ことに高貴権門と女性の歌が多い。
 本書は室町末期に書写されたものである。

 

7. 拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)

 

写本 一冊

 寛弘年間(1004〜12)花山院を中核に撰集された第三番目の勅撰集で
あるとする説が一般的である。二十巻からなり、約1350首を収め
る。全体的に古今集の伝統に立ち戻ろうとする姿勢や、歌の配列にも
配慮がほどこされているのが特色である。
 本書は江戸初期に書写されたものである。

 

8. 新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)

 

刊本 四冊

 後鳥羽院の勅命で源通具・藤原有家・藤原定家・藤原家隆・藤原雅
経・寂蓮によって撰集された第八番目の勅撰集で、元久二年(1205)ま
でに成立したとされている。二十巻からなり約1970首を収める。
歌風は古典主義的であり観念的傾向が著しく、総じて優雅華麗な内容
となっている。
 本書は延宝二年(1674)に刊行されたものである。


 

9. 新勅撰和歌集(しんちょくせんわかしゅう)

 

写本 一冊

 後堀河天皇の勅命で藤原定家が撰集した第九番目の勅撰集で、文暦
二年(1235)までに成立したとされている。二十巻からなり約1370
首を収める。武士の歌を多く収め、平淡優雅な作が多くなっている。
 本書は、森鴎外著「渋江抽斎(しぶえちゅうさい)」で知られてい
る江戸時代の儒学者・医学者である渋江抽斎の旧蔵本で、江戸中期に
書写されたものである。

 

10. 新葉和歌集(しんようわかしゅう)

 

写本 三冊

 宗良親王が撰者となり弘和元年(1381)頃に成立した。二十巻からな
り約1420首を収める。南北朝という特異な生活体験における作品
が多く、全体的には二条派風の平淡美な歌で構成されている。
現存する伝本は国会図書館本など数種あるが、本書は一般に流布し
た承応本系で江戸中期以後に書写されたのもである。

 

11. 万葉集(まんようしゅう)

 

複製本 一冊

 成立は八世紀未までにまとめられたと推定されるが未詳である。ま
た撰者についても大伴家持や橘諸兄などの諸説があるが確定されてい
ない。二十巻からなり約4500首を収める。歌風は質実素朴なもの
から流麗優美なものへ移行する傾向を示している。
本書は金沢本万葉集の複製である。

 

12. 新撰和歌集(しんせんわかしゅう)

 

刊本 一冊

 紀貫之の撰による平安期の私撰集であり、延長八年(930)から承平
四年(934)までの間に成立した。四巻からなり約360首を収める。
古今集歌が280首を占めており、古今集との関連や貫之晩年の好尚
を知る意義の大きい資料である。
 本書は歌の他、作者名を有する元禄八年(1695)・同十一年刊の糸統
本で、江戸中期頃に刊行されたものである。

 

13. 古今和歌六帖(こきんわかろくじょう)

 

写本 七冊

 古くより編者は紀貫之など諸説があるが定説はない。また、成立に
ついても貞元〜天元頃(976〜982)の成立かと考えられる。平安期の類
題集であり、万葉集から後撰集の頃の歌約4500首を歳時天象・地
儀・人事・動植物に類別し六帖に収めたものである。
 伝本のほとんどが江戸期の書写によるもので、本音も江戸初期に書
写された蜂須賀家旧蔵本のものである。

 

14. 小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)

 

写本 一軸

 天智天皇から順徳天皇時代までの百人の歌人の和歌一首を、藤原定
家が撰したものである。室町時代の二条家歌学の理想を示すものとし
て重視、多くの注釈書も作られ、よく読まれるようになった。江戸時
代には「カルタ」に利用され親しまれ、きまぎまの文学に大きな影響
を与えた。
 本書は江戸中期に書写されたものである。
 

15. 百人一首カルタ(ひゃくにんいっしゅかるた)

 

一揃

 小倉百人一首を「カルタ」にしたもので今回の展示品は江戸中期頃
に作成されたものである。

 

16. 三十六人集(さんじゅうろくにんしゅう)

 

写本 三十七冊

 成立は平安時代院政前期と推定される。平安時代までの代表的歌人
三十六人の私家集を集成したものである。
 本書は江戸時代の歌人中院通茂(1631〜1710)が書写したものである。

 

17. 小野小町家集(おののこまちかしゅう)

 

小野小町(おののこまち)著 刊本 二冊

 小町(生没年未詳)は平安期の歌人で、六歌仙および三十六歌仙の一
人である。この家集は平安中期に成立したものと思われる。
 現存する伝本は二系統あり、本書は正保版の系統を持つ群書類従本
である。

 

18. 業平集(なりひらしゅう)

 

在原業平(ありわらのなりひら)著 写本 一冊

 業平(825〜880)は平安期の歌人で、六歌仙の一人。平城天皇皇子阿
保親王の五男で近衛中将にいたった。この家集は平安中期に成立した
ものと思われる。
 現存する伝本は四系統に大別され、本書は歌仙家集本の系統であり、
中院通茂が書写したものである。

 

19. 堤中納言集(つつみちゅうなごんしゅう)

 

藤原兼輔(ふじわらのかねすけ)著 摺本 一冊

 兼輔(877〜933)は平安中期の歌人で、家が加茂川の堤にあったため、
堤中納言とも呼ばれた。この家集は、平安中期頃に成立したもので、
兼輔と親しい人との贈答歌が多い。
 現存する伝本は四系統に大別され、本書は部類名歌集本の系統で、
江戸後期に刊行されたものらしい。

 

20. 貫之集(つらゆきしゅう)

 

紀貫之(きのつらゆき)著 写本 一冊

 貫之(生年未詳〜945)は「土佐日記」「新撰和歌集」の著者・撰者
でもある、平安期の歌人である。この家集は平安中期に成立した。
 現存する伝本は五系統に大別され、本書は歌仙歌集本系で九巻に部
類別されたもので、江戸初期に書写されたものである。

 

21. 斎宮集(さいぐうしゅう)

 

徽子女王(きしじょおう)著 写本 一冊

 斎宮女御(929〜985)は醍醐天皇皇子三品式部卿重明親王の女で、平
安期の歌人である。この家集は入内より死に至る38年間にわたる女
御時代・伊勢在住期の歌が多い。
 現存する伝本は四系統に大別され、本書は正保版歌仙家集本糸のも
ので江戸初期に書写されたものである。

 

22. 曽祢好忠家集(そねよしただかしゅう)

 

曽祢好忠(そねよしただ)著 刊本 一冊

 好忠(923頃〜1003頃)は、官歴・伝記・家系など不明な点が多い平
安中期の異色歌人である。この家集の内容は一年間に相当する360
首、毎月集・好忠百首などに別れている。
 現存する伝本は三系統に大別され、本書は流布本系のもので元禄八
年(1695)に刊行されたものである。

 

23. 道信中将集(みちのぶちゅうじょうしゅう)

 

藤原道信(ふじわらのみちのぶ)著 写本 一軸

 道信(972〜994)は大政大臣為光の三男、兼家の養子となる。自撰な
のか、道信の早世を惜しむ周囲の者の撰なのかは決めがたい。この家
集は正暦二年から四年までの歌、実方との贈答がしばしば見られる。
 本書は平安期に流布した古写本の形態を持つ、江戸初期に書写され
たものである。

 

24. 実方朝臣集(さねかたあそんしゅう)

 

藤原実方(ふじわらのさねかた)著 写本 一軸

 実方(生年不詳〜998)は左大臣師尹の孫で、左近中将などを歴任、
陸奥守となる。この家集は、道信・公任・道綱・小大君・清少納言な
どとの交友の歌や陸奥国の歌などが多い。
 本書は前出道信中将集と共に伝えられたもので、江戸初期に書写さ
れたものである。

 

25. 清少納言家集(せいしょうなごんかしゅう)

 

清少納言(せいしょうなごん)著 写本 一冊

 清少納言(生没年未詳)は宮仕え時の呼称、「枕草子」の作者として
著名な平安時代の歌人である。父は清原元輔である。この家集は日常
生活的な内容の作品が多い。
 現存する伝本は二系統あり、本書は流布本系の本で蜂須賀家に伝え
られた江戸後期に書写されたものである。

 

26. 紫式部家集(むらさきしきぶしゅう)

 

紫式部(むらさきしきぶ)著 写本 一冊

 紫式部(970年頃〜没年未詳)は「源氏物語」の作者としても著名な
平安時代の歌である。父は当時、学者としても有名な越後守藤原為時。
この家集は式部のほぼ全生涯の歌を厳選している。
 現存する伝本は多いが、本書は定家本系で江戸後期に書写されたも
のである。

 

27. 和泉式部集(いずみしきぶしゅう)

 

和泉式部(いずみしきぶ)著 刊本 二冊

 和泉式部(970年頃〜没年未詳)は、長保元年(999)までに橘道貞と結
婚。和泉守であった夫の官名から和泉式部と呼ばれた平安期の歌人で
ある。この家集は和泉式部の幅広い作歌活動やその生涯をたどる上で
欠くことのできない文献となっている。
 本書は現存する多くの伝本のうちの群書類従本である。

 

28. 赤染衛門集(あかぞめえもんしゅう)

 

赤染衛門(あかぞめえもん)著 写本 一冊

 赤染衛門(生没年未詳)は大江匡衡と結婚した平安期の歌人である。
父は平兼盛といわれている。詠まれた歌はどんな場合の作でも見事な
出来(紫式部日記による)というのが当代の評で、節度と気品のある歌
が多い。
 現存する伝本は二系統あり、本書は流布本系・類従本と同系統で江
戸後期に書写されたものである。

 

29. 伊勢大輔集(いせのたいふしゅう)

 

伊勢大輔(いせのたいふ)著 写本 一冊

 伊勢大輔(生没年未詳)は大中臣輔親の女、高階成順の妻で、平安期
の歌人である。この家集は歌合や歌会の歌、宮廷貴族や女房たちとの
贈答歌が多く、伊勢大輔の長年の作歌活動を知る貴重な資料である。
 本書は現存する三系統のうち流布本系に入るが、それに先行する貴
書な資料で江戸中期頃に書写されたものである。

 

30. 周防内侍集(すおうのないししゅう)

 

平仲子(たいらのなかこ)著 写本 一冊

 仲子(1036頃〜1109頃)は周防守平棟仲の女で、平安期の歌人である。
この家集には宮中生活での贈答歌、歌合の出詠歌等96首が雑纂形式
で収められている。
 現存する伝本は少ないながら三系統あり、本書は桃園文庫本とよば
れるものである。

 

31. 基俊朝臣家集(もととしあそんかしゅう)

 

藤原基俊(ふじわらのもととし)著 写本 一冊

 基俊(1060〜1142)は俊頼とともに新時代の和歌の指導者として目さ
れ、両者の歌論の相違が注目された平安期の歌人である。この家集の
上巻は部類きれた永保〜長治、下巻は雑纂であり長治〜永久の歌を収
めている。
 現存する伝本は三系統あり、本書は流布本系に属すもので江戸初期
書写されたものである。

 

32. 寂然法師集(じゃくねんほうししゅう)

 

寂然(じゃくねん)著 刊本 一冊

 寂然(1117頃〜没年未詳)は信仰・和歌の両面において西行と深い交
友関係を持った。この家集は寿永元年(1182)賀茂社へ奉納した寿永百
首家集と考えられる。
 現存する伝本は多くあり、本書は群書類従本である。

 

33. 式子内親王集(しょくしないしんのうしゅう)

 

式子内親王(しょくしないしんのう)著 写本 一冊

 式子内親王(生年未詳〜1201)ほ後白河天皇の第三皇女で、歌は俊成
に師事した鎌倉時代の歌人である。
 本書ほ屋代弘賢の書入・蔵書印から屋代弘賢・蜂須賀家の旧蔵本で
あったことが知られる。
 

34. 長秋詠藻集(ちょうしゅうえいそうしゅう)

 

藤原俊成(ふじわらのしゅぜい)著 写本 一冊

 俊成(1114〜1204)は四種の歌学書をはじめ二つの家集などの作品、
勅撰集を編んだ足跡の大きな歌人である。この家集は俊成の秀歌がほ
とんど網羅されている。また後に結婚し定家をもうけることになった
美福門院加賀との贈答歌も興味深い。
 現存する伝本は四系統に分けられ、本書は定家筆本を祖本としたも
ので江戸中期頃に書写されたものである 。

 

35. 金槐和歌集(きんかいわかしゅう)

 

源実朝(みなもとのさねとも)著 写本 二冊

 実朝(1192〜1219)は源頼朝の次男として誕生、歌は定家に師事した。
「金槐」の金は鎌倉の鎌の偏をとり、槐は大臣を意味するので、鎌倉
右大臣家集の意となる。師である定家の影響を受け、古今風・新古今
風の歌が主である。
 現存する伝本は二系統にわけられ、本書は定家所伝本系を祖本とし
江戸初期に書写されたものである。

 

36. 右京大夫家集(うきょうのだいぶかしゅう)

 

藤原伊行女(ふじわらのこれゆきのむすめ)著 写本 一冊

 右京大夫(生没年未詳)は高倉天皇の中宮徳子(建礼門院)に出仕した
平安期の歌人である。源平の動乱の中で戦死した平資盛と恋愛関係に
あり、この資盛への追憶が本集の主要部分となっている。
 現存する伝本は二系統あり、本書は九州大学蔵本系で、江戸初期に
書写されたものである。

 

37. 夢窓国師之御詠(むそうこくしのごえい)

 

夢窓疎石(むそうそせき)著 写本 一冊

 夢窓疎石(1275〜1351)は臨済宗僧侶で、天龍寺開山など全国に安国
寺・利生塔を建立した南北朝期の歌人でもある。この家集は他撰家集
で、ほとんど法談後に詠まれた、実景・実感の歌が多い。
 本書は蜂須賀家旧蔵本で江戸後期に書写されたものてある。

 

38. 兼好家集(けんこうかしゅう)

 

ト部兼好(うらべけんこう)著 写本 一冊

 兼好(1283〜1352)は「徒然草」の作者としても著名であり、歌道は
二条為世の門に入った南北朝期の歌人でもある。この家集は康永四年
(1345)「風雅集」の資料として提出すべく自撰したものである。
 現存する伝本はその自筆草稿が尊経閣文庫に伝存し、本書はその転
写の過程を知ることのできる、元禄期頃に書写されたものである。

 

39. 李花集(りかしゅう)

 

宗良親王(むねながしんのう)著 写本 二冊

 宗良親王(1312〜1385)は後醍醐天皇の皇子で、為定に師事したため
二条家流の歌風になじんだ。この家集は当時の南朝の動向を知ること
も出来る貴重な資料である。
 現存する伝本は、ほとんどが尊経閣文庫本の系統に属するもので、
江戸後期に書写されたものである。

 

40. 後小松院御製(ごこまついんぎょせい)

 

後小松天皇(ごこまつてんのう)著 写本 一冊

 後小松天皇(1377〜1433)は北朝第六代天皇で、しばしば歌会を催す
など和歌・連歌に対する好尚が顕著であった。
 本書は蜂須賀家旧蔵本で江戸後期に書写されたものである。

 

41. 草根集(くさのねしゅう)

 

正徹(しょうてつ)著 写本 四冊

 正徹(1381〜1459)は為尹や了俊にまみえて冷泉派の門弟となる。了
俊から種々の歌書を相伝される。本集は正徹の後半生11000余首
を収録。心敬・智蘊・宗砌などの連歌作品に影響を与えた。
 本書は現存する諸本のうち、兼良の序文を持つ全五十巻本の系統で
江戸中期に書写されたものである。

 

42. 東野州家集(とうやしゅうかしゅう)

 

東常縁(とうのつねより)著 写本 一冊

 常縁(生没年未詳)は東家相伝の歌説を受け、尭考や正徹にも和歌を
学んだ室町期の歌人である。
 現存する伝本は三系統に分けられ、本書は第二類本(寛文九年に編
纂)の系統で江戸時代の歌人鳥丸光雄が書写したものである。

 

43. 常徳院殿御集(じょうとくいんどのぎょしゅう)

 

足利義尚(あしかがよしひさ)著 刊本 一冊

 義尚(1465〜1489)は第九代将軍で、歌は飛鳥井雅康に学んだ。歌会
や歌合を熱心に行ない歌書なども多い。この家集は文明十三年から長
享三年に至る編年の集で、清新な歌、贈答・即詠の歌も多い。
 本書は現存する諸本のうち群書類従本である。

 

44. 為和卿集(ためかずきょうしゅう)

 

冷泉為和(れいぜいためかず)著 刊本 一冊

 為和は(1486〜1549)室町期の歌人であり、今川氏と関係深く通称今
川為和と呼ばれている。この家集は天文十七年(1548)に成立したらし
く、為和自身が年次を追って書いたもので、戦国武将などと文芸交流
を示す歌が多く史料的価値は高い。
 本書は群書類従本で抄本である。

 

45. 寛平菊合(かんぴょうきくあわせ)

 

刊本 一冊

 歌合とは歌人を左右に分け、その詠んだ歌を−番ごとに比べて優劣
を競う遊びである。この歌合は宇多天皇によって主催され、寛平三年
(891)秋頃に成立。歌の優劣は問題としない、むしろ物合をいうべき
もので、歌合行事の成立上貴重な形態の歌合である。
 本書は現存する二系統のうちの群書類従本である。

 

46. 拾遺百番歌合(しゅういひゃくばんうたあわせ)

 

藤原定家(ふじわらのていか)撰 写本 一冊

 建久中期ごろの成立。本書は屋代弘賢の筆(文化十五年)によるもの
である。弘賢は江戸時代の歌人であり寛政四年(1792)には幕府右筆と
なった。和漢の典籍を集め、不忍池畔に文庫を建てた。蔵書は死後、
阿波藩(蜂須賀家)に譲られた。本書の蔵書印から、これらの歴史を
うかがうことができる。

 

47. 元久詩歌合(げんきゅうしいかあわせ)

 

刊本 一冊

 元久二年(1205)、後鳥羽院の五辻御所で行なわれた。良経が企画し
定家らが人選その他を進めていた会であったが、後鳥羽院の耳に達し
院主催に変更された。詩歌合は漢詩と和歌という異質のものを接近さ
せようという意図を持つものである。
 本書は群書類従本である。

 

48. 公武歌合(こうぶうたあわせ)

 

刊本 一冊

 文明七年(1475)秋、甘露寺親長が開催。作者は親長らの公家及び飯
尾清房・為信ら武家であり、公武歌合の名はここに由来する。一条兼
良の判詞がある。
 本書は群書類従本である。

 

49. 新撰莵玖波集(しんせんつくばしゅう)

 

宗祗(そうぎ)撰 写本 五冊

 撰者宗祗は歌人・古典学者として後世に大きな影響を残し、連歌の
ふでなく芭蕉以下の俳諧師へも影響を与えた。本集は明応四年(1495)
に成立した連歌撰集であり、天皇・公家・武家・僧侶・庶民に及ぶ2
50人あまりの附句、発句約2000句を集めている。
 本書は寛永十年(1633)頃鳥丸光広によって書写されたらしい。

 

50. 和漢朗詠集(わかんろうえいしゅう)

 

写本 二冊
   
 藤原公任撰による、漢詩590句、和歌220首を収めたもので長
和二年(1013)頃成立した。宮廷貴族の朗詠を背景に後世の文学に大き
な影響を与えた。
 本書は、渋江抽斎の旧蔵本で、江戸時代初期こ書写されたものである。

 

 

 

 

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