第二十六回 1998年1月 江戸の旅

 

展示にあたって

 今回の展示は、本学附属図書館が所蔵する資料の中から江戸時代の東海道を中心に、他の街道もまじえ、「旅」に関するものを選んだ。
 現代の人々は四季折々旅をしたり、気軽に外国の旅も楽しんでいるが、江戸の昔、鎖国時代の旅はいかがなものであったろう。 現代のような整備された交通網や交通機関もなく、陸上の移動を主に徒歩にたよらざるをえなかった時代には、庶民にとって遠方への旅はそれこそ命がけであったにちがいない。
 当時の往来物、旅物語、地図などを通して、歴史の中に消えてしまった庶民の生活風景、地名など、江戸時代の旅路を垣間見ていただけたら幸いである。

 

 

1.東海道五十三次(とうかいどうごじゅうさんつぎ)複製
   安藤広重画(1797−1858)
   版画杜 1925年

    初代広重筆保永堂版東海道五十三次の複製
    五十三次を描いた浮世絵・版画等は数々あるが、広重の保永堂版が
   特に有名である。

2.五十三次名所図会(ごじゅうさんつぎめいしょずえ)
   安藤広重画(1797−1858)
   1855年頃 5枚 37×26cm

   戸塚 藤沢 平塚 大磯 小田原 5枚共帙入

3.官坂大日本沿海実測録
   伊能忠敬測定(1745−1818)
   大学南校 1870年(明治3年) 14冊 26cm

    伊能忠敬が1800年から1816年にかけて全国を測量した際の
   記録を刊行したもの。距離の測定には歩測と間棹、間縄を併用し、方
   位の測定には磁針を使い、高い山の頂の方位を精密にはかることで補
   正を加えた。

4.官板実測日本地図
    伊能忠敬測定
    大学南校 1870年(明治3年) 4枚 (折畳 29×17cm)
   
    伊能忠敬が1800年から1816年にかけて全国を測量した資料
   をもとに刊行したもの。当時としてはせ界に類を見ないほど精度が高
   く、現代の地図とくらべても誤差がほとんどない。

5.道中膝栗毛(どうちゅうひざくりげ)
    十返舎一九作
    椀屋喜兵衛 1804−1830年頃 10冊 18cm

     「東海道中膝栗毛」とも言う。本書の内題は「道中膝栗毛」題簽は
    「東海道中膝栗毛」。発端、初編は各1巻1冊。2編から7編までは
    各々上下巻合冊。ただし「5編追加」は1冊。8編は上中下巻を合冊。

    弥次郎兵衛と喜多八の2人が江戸から伊勢参宮に旅立ち、道中の滑稽
    な失敗談が書かれている。また、街道筋の人々の様子が狂歌を挿んで
    描かれている。

6.続膝栗毛(ぞくひざくりげ)
    十返舎一九作
    椀屋喜兵衛 1804−1830年頃 12冊 18cm

     金毘羅・宮嶋参詣をし、草津から中山道・善光寺道に入り、参詣後
    草津温泉を廻り江戸に着くまでの滑稽談。

7.続々膝栗毛(ぞくぞくひざくりげ)
    十返舎一九作
    平林庄五郎 1804−1830年 3冊 18cm

     先の道中膝栗毛が好評を博したので、続編を重ねるようになり遂に
    20年間書きつがれた。

8.滑稽五十三駅(こっけいごじゅうさんつぎ)
    十返舎一九作・画
    山城屋佐兵衛 1862年(文久2年) 23冊 18cm

     「道中膝栗毛」の改版 「発端」を欠く。

9.東海道往来(とうかいどうおうらい)
    大橋重雅書
    〔出版社不明〕1845年(弘化2年) 29丁 30cm
    書札集付き

10.東海道往来(とうかいどうおうらい)
    〔出版社不明〕〔出版年不明〕1冊 13cm

     東海道五十三次の駅名を七五調・韻文体で詠みこんだもの。

11.東海道往来(とうかいどうおうらい)
     錦耕堂 〔出版年不明〕11丁 18cm

      江戸より京都に至るまでの東海道五十三次の駅名を泳みこんだ往来。
     このように交通路に沿って宿駅名を羅列する往来の中で、最も普及し
     たのがこれである。

12.狂歌道中記(きょうかどうちゅうき)
     六樹園飯盛編 昇亭北寿画
     1813年(文化10年) 33丁 24cm 帙入

13.江戸道中記(えどどうちゅうき) 新版
     墨屋吉兵衛 1798年(寛政9年) 5丁 10X14cm

      美作国津山城下(現在の岡山県)より、江戸津山藩屋敷にいたるま
     での道中記。沿通の駅名、名所旧跡、名産名物について記されている。

14.諸国道中袖鏡(しょこくどうちゅうそでかがみ)
     岡田屋嘉七 1839年(天保10年) 64丁 11X17cm
     外題に「道中袖鏡」とあり

      東海道と中山道の名所旧跡、神社仏閣の案内と各駅間の里程と駄馬
     による運賃を記したもの。

15.松島往来(まつしまおうらい)
     〔出版社不明〕 1824年(文政7年) 16丁 18cm

      江戸より象潟に至るまでの道中の景趣、名所旧跡、神社仏閣等につ
     いて記した往来。
                             
16.結構往来(けっこうおうらい)
     森屋次郎兵衛 1847年(弘化4年) 20丁 18cm
     題簽に「日光詣結構往来」とあり

     江戸千住より日光街道をつたって日光へ至るまでの沿道の駅名、風
    景ならびに東照宮境内とその周辺の風景などについて記したもの。

17.榛名詣(はるなもうで)
     清水玄叔述
     西村与八 1803年(享和3年) 17丁 18cm
     題簽に「享保新撰 上州榛名詣」とあり

      上野国(現群馬県)榛名山ならびにその周辺の風景、名所旧跡、神
     社仏閣などについて記したもの。

18.妙義詣(みょうぎもうで)
     花屋久治郎 1794年(寛政6年) 17丁 19cm
     題簽に「上州妙義詣」とあり

      江戸より妙義山に至るまでの、沿道の駅名・名所旧跡ならびに上州
     妙義大権現の由来・縁起などについて記したもの。

19.成田詣(なりたもうで)
     花屋久次郎 文化頃刊 13丁 19cm
     題簽に「頭書絵入 成田詣文章」とあり

      江戸日本橋より成田に至る沿道の駅名、名所旧跡、神社仏閣ならび
    に成田山の風景、由果、縁起などについて記したもの。

20.利根川図志(とねがわずし)
     赤松宗旦(義知) 二世北斉等画
     1855年(安政2年) 6巻6冊

      利根川中流域以下、下総銚子までの左右両岸を扱った絵入りの地誌。

21.江戸切絵図(えどきりえず)
     尾張屋清七 1848年(嘉永2年) 28枚 50×54cm
     題簽に「御江戸大名小路絵図」とあり

      地域区分の一体性を重視したため、形状が不正確である。彩色刷の
     ため人目を引いた。

22.自遺往来(じげんおうらい)
     西宮新六 1788年(天名8年) 18丁 27cm
     題簽に「万歳江戸往来」とあり

      江戸の地誌、とくに将軍家を中心とする年始の儀式、江戸に流入す
     る物資、江戸の広さおよび町々の状況、玉川、両国橋、東叡山、不忍
     池の遊楽などについてくわしく記したもの。

23.自遺往来(じげんおうらい)
     藤原秀賀注 玉蘭斎貞秀画
     勝村治右衛門他 1865年(元治2年) 62丁 26cm
     題簽に「江戸往来絵註抄」とあり

24.浅草詣(あさくさもうで)
     中原耕張著
     花屋久次郎 1802年(亨和2年)14丁 19cm
     題簽に「亨和新浅草詣文章」とあり

      浅草柳橋より浅草寺にいたる沿道の名所旧跡、神社仏閣ならびに浅
     草寺の風景、由来、縁起などについて記したもの。

25.雑司谷詣(ぞうしがやもうで)
     高井蘭山述
     花屋久次郎 寛政頃刊 16丁 19cm

      江戸筋違橋より雑司谷鬼子母神に遊ぶ沿道の名所旧跡、神社仏閣な
     らびに鬼子母神の景趣、由来、縁起などについて記したもの。

26.沢庵和尚鎌倉記(たくあんおしょうかまくらき)
     沢庵宗彭(1573−1645)
     林重右衛門 1659年(万治2年) 44丁 26cm
     題簽に「沢庵 巡礼鎌倉記」とあり

      沢庵和尚が2人の伴を連れて鎌倉を巡礼見物した時の記録。挿画に
     当時の様子がうかがえ歌などが多い。

27.鎌倉詣(かまくらもうで)
     鶴屋喜右工門 1823年(文政6年) 20丁 19cm
     題簽に「童男 女手本鎌倉一覧文章」とあり

      鎌倉及び金沢の名所旧跡・神社仏閣を訪れたことを報告する形の文
     文章で、それらの景趣・由来・縁起等について記したもの。

28.江嶋詣(えのしまもうで)
     滕耕徳書香
     鶴屋喜右衛門 寛政頃刊 13丁 18cm

      江戸より江ノ島にいたるまでの、風景、名所旧跡、神社仏閣などに
     ついて記したもの。

29.身延詣(みのぶもうで)
     円亭九狐述
     〔出版社不明〕 文政頃刊 9丁 18cm 題簽に「身延往来」とあり

      江戸より身延山久遠寺までの沿道の駅名、名所旧跡ならびに久遠寺
     の風景、由来、縁起などについて記したもの。

30.新編伊勢名所拾遺集(しんぺんいせめいしょしゅういしゅう)
     竜貞玄編
     中野宗左衛門 1681年(延宝9年) 2巻4冊 18cm

      上巻には名所98ケ所、下巻には73ケ所をあげているが、その中
     には志摩国の名所も入っている。名所は地名のいろは順に列記されて
     いる。

31.京雀跡追(きょうすずめあとおい)
     清水五郎左衛門 1677年(廷宝5年) 2巻2冊 9×19cm

      買物案内を主とした京都の案内で、社寺名所、町名の由来、著名商
     店の所在などを記したもの。巻頭には識者・諸商品を見るのに便利な
     様に索引がある。また、各町の代表的商工の店頭の挿絵が多数ある。

32.名所都鳥(めいしょみやこどり)
     吉田四郎右衛門 1690年(元禄3年) 8冊 23cm
     題簽に「類聚都鳥」とあり

      山城国(現京都府南部)の名所を、70ケ所余り記している。

33.京都巡覧記(きょうとじゅんらんき)
     池田東籬亭編 中村有楽画
     竹原好兵衛 1831年(天保2年) 3巻1冊 11×17cm

      巻1には花洛名所図、巻2には京都の神社仏閣、巻3には洛陽書順
     拝を記したもの。本書は巻1〜巻3まで合本されている。

34.洛陽往来並文章(らくようおうらいならびにぶんしょう)
     林泉堂暘嶂書
     山崎屋清七 1846年(弘化3年) 20丁 26cm

      洛陽見物によせて京都ならびにその周辺の名所旧跡、神社仏閣の縁
     起、風景等について記したもの。

35.花洛羽津根(からくはつね)
     換書堂主人撰
     1863年(文久3年) 46丁 11cm×16cm
     題簽に「文久改正 京羽津根大全」とあり

      本書は、京都の神社仏閣、名所旧跡、諸土、名家等を記した全8巻
     よりなる第1巻で、洛外総図、遷都次等、内裏略図や所司代、奉行、
     大名の名簿よりなる。

36.画図 西遊譚(がずさいゆうたん)
     司馬江漢著(1738−1818)
     鴨伊兵衛 1803年(享和3年) 5巻5冊 25cm
     別書名「西遊譚」

      江戸から長崎にいたるまでの、名所旧跡、風俗、物産等を図説した
     もの。主な著作は「春波楼筆記」「興地略説」「地球全図略説」「和
     蘭天説」など。

37.日本往来(にほんおうらい)
     竜章堂閑斎書 蔀関牛画
     塩屋喜助他 1827年(文政10年) 97丁 23cm

      「国ならびに郡付名所名物」「六十余州御城下郡名付」を8ケ月の
     書状にわけて書き記したもの。日本全国を対象としたもののうち最古
     で代表的なもののひとつ。

38.日本名所記(にほんめいしょき)
     〔出版社不明〕〔出版年不明〕 3巻1冊18cm

      諸国の郡村、知行高、城地、陣屋、名所旧跡、神社仏閣を列挙した
     もの。

39.日本地理往来(にほんちりおうらい)
     石田和助ほか編
     書林会社 1872年(明治5年) 53丁 23cm

40.日本路程全図(にほんろていぜんず)
     長久保赤水原図 鈴木驥園増訂
     出雲寺万次郎 1852年(嘉永5年)12舗 35×47cm
     (折畳 12×8cm)

      江戸中期の水戸藩の地理学者である長久保赤水の原図を刊行したも
     の。すでに緯度が用いられている。

41.新刻日本輿地路程全図(しんこくにほんよちろていぜんず)
     長久保赤水著(1717−1801)
     浅野弥兵衛 1811年(文化8年)1枚 85×130cm
     (折畳 29×17cm)

42.関東路程便覧(かんとうろていびんらん)
     1847−1867年(弘化4年一慶応3年) 5枚

      関八州全図、関東十九州路程便覧、東都近郊図、関東十九州路程便
     覧。

43.寛永三年九月六日将軍様御参内御行列次第(かんえいさんねんくがつむ
      いかしょうぐんさまごさんだいごぎょうれつしだい)
     江戸中期頃写 1軸 29×2149cm

      行列図の部分彩色。巻末に「藤原家蔵」とあり。和装箱入。
     寛永三年九月六日二條城江御幸之時御楽御歌御会御解御進物之次第を
     含む。

      江戸幕府三代将軍、徳川家光が寛永3年に後水尾天皇の二条城行幸
     を迎えるために、2度目の上洛をしたときの様子を記したもの。

 

 

 

 

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