第33回 連歌師 宗祇展 −500年の時を超えて− 

展示にあたって

 みなさんは宗祇という人物をご存知ですか?飯尾宗祇(イイオ、ソウギ 1421-1502)は室町時代に連歌師として活躍しました。
歌枕(歌に詠まれた名所)を求め,日本各地を旅したことでも知られ、かの松尾芭蕉の旅も、宗祇の影響を受けていると伝えられています。今年はちょうど宗祇没後500年にあたり各地で展覧会等が予定されています。宗祇の終焉の地、箱根湯本に近い東海大学でも所蔵資料を公開いたします。宗祇直筆書簡の他、宗祇関連の貴重な資料を多数展示いたしました。
 500年前の連歌師宗祇の世界を身近に感じていただけたら幸いです

 

1. 宗祇自筆書状 宗祇自筆書状の画像
(そうぎじひつしょじょう)
1幅 宗祇筆
宗祇が北野社の月忌である3月25日に参拝しなかったことを、他意があると非難されたのに対する手紙である。年は記載されていないが延徳元年(1489)より後『新撰菟玖波集』の編集に着手する頃と考えられる。
2. 新撰菟玖波集 新撰菟玖集の画像
(しんせんつくばしゅう)
元和寛永頃写  20巻
5冊
宗祇撰 伝烏丸光広筆
宗祇が中心となって連歌師兼載、公家方の三条西実隆・一条冬良らと編集した連歌准勅撰集。明応4年(1495)9月26日奏覧。宗祇の理想とした「有心、幽玄、長高し」の美意識のもとに厳しい選句がなされ、当時の正風連歌の模範と典型を示した。『菟玖波集』には俳諧連歌を収めているが、本書では排除している。
3. 新撰菟玖波集
(しんせんつくばしゅう)
江戸初期写 20巻
5冊
宗祇撰
4. 宗祇名所独吟
(そうぎめいしょどくぎん)
天文10年(1542)写 1冊 宗祇著
名所百韻とは、全句に名所を詠み入れた百韻で『浅茅』(宗祇著)にも名所の詠み様を示すなど、宗祇が名所に深く関心を持っていたことがうかがえる。この名所百韻の賦詠は文正2年(1467)正月1日。前年宗祇は初めて東国へ下向している。発句は「富士のねも年は越ける霞哉」
5. 宗祇独吟名所百韻注
(そうぎどくぎんめいしょひゃくいんちゅう)
天正7年(1579)写 1冊 得月庵釋善顕筆
『宗祇名所独吟』の注釈書
6. 宗祇独吟千句 連歌についての解説パネルの画像
(そうぎどくぎんせんく)
天文8年(1539)写 1冊 宗祇著 
藤原通直筆
『三島千句』とも称されている。文明3年(1471)宗祇が伊豆国三島にて東常縁から初度の古今伝授の折、常縁の子竹一丸風邪祈祷立願報賽のため、三島明神に奉納したもの。「なべて世の風をおさめよ神の春」の第一百韻発句には古河公方来襲の情報を得ての戦勝祈願が込められているという。なお、この句の碑が宗祇の墓所のある定輪寺(静岡市裾野市)境内にある。
7. 河瀬方十花千句
(かわせがたじっかせんく)
江戸初期写 1冊 不蹟法師写
別名『表佐千句』とも称す。文明8年(1476)3月6日から美濃国阿弥陀寺で行なわれた千句。連衆は専順・宗祇・紹永ら。発句はいずれも花を詠むので『十花千句』と称される。
8. 湯山三吟
(ゆやまさんぎん)
室町後期写 1冊 宗祇・肖柏
宗長著
この百韻は延徳3年(1491)10月20日、宗祇が肖柏・宗長を伴って湯治療のために摂津国湯山(有馬温泉)に赴いた際に詠まれたもの。発句は「うす雪に木葉色こき山路哉」(肖柏)。なお本書には他に『宗祇日発句』・『宗祇独吟百韻』・『大原野千句』・『住吉法楽百韻』を収めている。
9. 水無瀬三吟百韻
(みなせさんぎんひゃくいん)
江戸初期写 1冊 宗祇・肖柏
宗長著
連歌百韻。和歌・連歌に御功績のあった後鳥羽院をしのんで、宗祇が高弟の肖柏・宗長と共に詠んだもの。長享2年(1488)正月22日に城南水無瀬の後鳥羽院御影堂に奉納した何人百韻。長享2年は後鳥羽院の250年忌にあたる。「雪ながら山もとかすむ夕かな」の宗祇の発句で始まる。古来連歌の代表作に数えられる。
10. 水無瀬三吟百韻 水無瀬三吟百韻の画像
(みなせさんぎんひゃくいん)
複刻 1軸 宗祇・肖柏・宗長著
本書は岡田利兵衛氏蔵本を日本古典文学会から複刻されたものである。
11. 老葉集
(わくらばしゅう)
江戸初期写 1冊 宗祇著
連歌句集。宗祇の第2自選句集。大別して初編・再編本がある。初編本の成立は文明13年(1481)夏ごろと推定されている。再編本は文明17年(1485)8月には成立していた。本書は再編本系である。宗祇の代表的句集。本書は他に『釈教十首』・『賦何人連歌』などを収めている。
12. 自然斎発句
(じねんさいほっく)
室町末期写 1冊 宗祇著 肖柏編
自然斎は宗祇の別号。宗祇の発句約1600句を春の「立春」「子日」「霞」から始まり、冬の「歳暮」「年内立春」「雑冬」に至る項目に分類したもの。
13. 祇公発句
(ぎこうほっく)
江戸初期写 1冊 宗祇著        
展示No.12の『自然斎発句』と同様宗祇の発句集であるが、内容に異同がある。本書は他に『水無瀬三吟百韻』などを収めている。
14. ことはよせ
(ことばよせ)
江戸初期写 1冊 宗祇著
連歌辞書『ことはよせ』は『分葉』と同一書。長享2年(1488)3月に蒲生貞秀(智閑)にあてて書いたものが第一次成立本と考えられている。「すさむ」以下の語について用例をあげて、用い方によって語義の変わることを説いている。各語につき例歌を引いて解釈する。とりあげる語については諸本によって大きく相違するが、本書は101語をとりあげている。
15. 分葉
(ぶんよう)
江戸中期写 1冊 宗祇著
16. 分葉集
(ぶんようしゅう)
元文4年(1739)写 1冊 宗祇著
17. 分葉
(ぶんよう)
元文5年(1740)写 1冊 宗祇著 尼崎一清写
18. 老のすさみ
(おいのすさみ)
室町中期写 1冊 宗祇著
文明11年(1479)3月成立。宗祇が先達となる宗砌・心敬・専順ら連歌七賢の句を中心として評釈し、付様の眼目などを記したもの。さらに透秀体の句を挙げて、連歌の正風について主張を展開している。宗祇の代表的連歌論書。
19. 会席二十五禁
(かいせきにじゅうごきん)
天和2年(1682)写 1冊 宗祇著
連歌の作法・心得を禁止条項二十五ヶ条にしたもので、声高に雑談する、あくび居眠り、大食大酒、禁句、私語をする等が連ねてある。連歌会が必然的に持つ乱雑・無秩序に対処するための規則だが、逆にここから当時の連歌会の実情を読み取ることができる。本書には『連句心得いろは五百ヶ条』も収録している。
20. 伊勢物語聞書
(いせものがたりききがき)
天文20年(1551)写 1冊 宗祇講 
肖柏聞書 祐弁筆
宗祇による講義の聞書をもとにした『伊勢物語』の注釈書。文明9年(1477)に初稿本が成立。初稿本から三訂本まで成長していったことが第75段の注から確かめられている。
21. 伊勢物語聞書
(いせものがたりききがき)
室町末期写 1冊 宗祇講 肖柏聞書
22. 伊勢物語注宗祇説
(いせものがたりちゅうそうぎせつ)
室町末期写 2巻2冊 宗祇講 肖柏聞書
23. 源語編次鈔
(げんごへんじしょう)
江戸中期写 1冊 宗祇著
宗祇による『源氏物語』の注釈書。別名『種玉編次抄』。一条兼良の年代説を継承しつつ、「薫」の呼称の変化から官位昇進を考察。匂宮巻以降の年立と巻序について年代関係の推定を試みている。
24. 源氏物語不審抄出 源氏物語不審抄出の画像
(げんじものがたりふしんしょうしゅつ)
江戸初期写 1冊 宗祇著
宗祇による『源氏物語』の注釈書。桐壺巻以下の42帖から、難解な120箇所あまりを抄出し、文脈に即した詳しい注釈がなされている。『河海抄』や『花鳥余情』など一条兼良の説も引用している。本書は宗祇が明応8年(1499)に富小路俊通に付託したことから、宗祇晩年の成立とみられる。
25. 雨夜談抄
(あまよだんしょう)
江戸中期写 3冊 宗祇著
宗祇による『源氏物語』帚木巻の注釈書。別名『雨夜談抄帚木別注』。文明9年(1477)に三条西実隆が聴聞した講釈などが基礎となり成立したとみられる。巻名の由来を「その原や伏屋に生ふる帚木のありとはみえてあはぬ君かな」の部分を元に説明する。
26. 帚木別注
(ははきぎべちゅう)
江戸末期写 1冊 宗祇著
27. 光源氏物語系圖
(ひかるげんじものがたりけいず)
室町末期写 1帖 三条西実隆著 
水無瀬兼成筆
『源氏物語』の作中人物を皇族・大臣・殿上人・受領の順に系図にまとめ、それ以外の人々を一括した。各人物には簡単な略歴が付けられている。肖柏・宗祇の協力を得て長享2年(1489)に成立。
28. 自賛歌注
(じさんかちゅう)
室町末期写 1冊 宗祇著
『自讃歌』は新古今時代の代表歌人17人の歌人についてそれぞれ10首ずつを集めた170首からなる秀歌撰。宗祇がこれに注を加えたもので、南北朝期以後室町、江戸時代を通じて多種の注が書かれている。本書の奥書には「自讃歌注は種玉菴宗祇法師の作也此本自筆最珍重なる者也 古筆了伴の極書」とある。宗祇法師の作、自筆とあるが、金子金治郎先生によれば、宗祇筆ではないが、室町期を下らない古写本であると述べられている。
29. 自賛歌註
(じさんかちゅう)
延宝3年(1675)写 2巻1冊 宗祇著
30. 自賛歌註宗祇絵抄

自讃歌註宗祇絵抄の画像

(じさんかちゅうそうぎえしょう)
松会開版刊本 3巻1冊 宗祇著 菱河師宣絵
『自讃歌注』に菱河師宣の絵が入っている刊本である。
31. 古今傅授切紙口傳條々
(こきんでんじゅきりがみくでんじょうじょう)
延享4年(1748)写 1冊 宗祇著
文明3年(1471)東常縁(とうのつねより)は、宗祇に『古今和歌集』の解釈を中心に、歌道の奥義を伝授(古今伝授)し、口伝の条目を記した切紙を与えた。古今伝授以後の宗祇は自他共に許す文壇の第一人者として、自信にみちた活動を続けた。

古今和歌集序聞書の画像

32. 古今傅授切紙口傳條々
(こきんでんじゅきりがみくでんじょうじょう)
江戸中期写 1冊 宗祇著
33. 切紙口傳條々
(きりがみくでんじょうじょう)
江戸中期写 1冊 宗祇著
本書の題簽に『古今傅授切紙口傳條々』とあり。
34. 古今和歌集序聞書
(こきんわかしゅうじょききがき)
江戸初期写 1冊 宗祇講 肖柏聞書
宗祇による講義の聞書をもとにした『古今和歌集』の仮名序についての注釈書。
35. 古今和歌集
(こきんわかしゅう)
室町末期写 3冊 宗祇著
宗祇による講義の聞書をもととした『古今和歌集』の注釈書。別名『古今集抄』。
36. 古今集宗祇説聞書
(こきんしゅうそうぎせつききがき)
江戸中期写 1冊 宗祇講 肖柏聞書
宗祇による講義の聞書をもとにした『古今和歌集』の注釈書。巻11(恋歌1)〜巻20(大歌所御歌など)までの10巻分。巻1〜巻10を欠く。
37. 菟玖波集
(つくばしゅう)
江戸初期写 2巻2冊 二条良基編
わが国最初の連歌准勅撰集。准勅撰となったのは延文2年(1357)閏7月11日。二条良基が連歌師救済と協力して編纂したもの。作品は『日本書紀』を初めとして奈良・平安・鎌倉各時代の典籍や、鎌倉時代以降の連歌作品から幅広く選び抜いて収められている。巻19『雑体連歌』に「俳諧」の部がある。
38. 菟玖波集 巻十四
(つくばしゅう)
南北朝期写 1軸 伝素眼法師筆
菟玖波集成立後間もない頃の写本で巻十四(雑連歌三)1巻。もとは冊子体であったものを巻子に改装したもの。性遵法師の付句から20句が欠落している。
39. 連歌新式抄
(れんがしんしきしょう)
寛永4年(1627)写 1冊
長尾平兵衛または万屋作右衛門刊。室町末期に、しきりに行われた連歌新式講釈の流れを受ける一書と思われ、注釈内容は慶長4年(1599)と考えられる。『連歌初学抄』および『和漢篇』にわたり注を加えている。
40. 連集良材
(れんじゅうりょうざい)
江戸中期写 1冊
故事解説書。連歌の詠作上良き材料となる中国の人物、故事、仏典などを解説し、それらを詠じた心敬、宗祇らの句を例として挙げている。室町時代末期の成立。
41. 連歌至宝抄
(れんがしほうしょう)
展示ケース内の画像
室町後期写 1冊 紹巴著
本書の外題は「連歌秘伝書」。内容は『連歌至宝抄』で紹巴の代表的連歌論書。紹巴は室町時代末から安土桃山時代にかけて活躍した連歌師。なお『連歌至宝抄』の後に『連歌去嫌の哥式目』を収める。
42. 匠材集
(しょうざいしゅう)
慶安4年(1651)刊 4巻 紹巴編
連歌辞書。連歌に用いるにふさわしい語約4000語の用語を4巻に収めており、いろは順に配し簡潔な語釈を施す。慶長2年(1597)紹巴の跋文もあり、紹巴の作ではないかと考えられる。
43. 連歌択善集
(れんがたくぜんしゅう)
文化10年(1813)刊 1冊 宗牧編
連歌、発句を詠む際の一般的注意を記した連歌師宗牧(宗祇の弟子)の連歌論書。天文21年(1552)に成立。四季の景物を12か月に配し、さらに各季ごとに雑題を補っている。和歌の題詠、百首歌の盛行を背景に、連歌文芸における本意論を踏まえた発句・季題意識を進め、後世の俳諧の発句・季意識に大きな影響をあたえた。
44. 連歌雨夜記
(れんがあまよのき)
元禄10年(1697)刊 1冊 宗長著
宗長は禅の宗教的教養のほかに古典・連歌・俳諧にも優れた中世末期の代表的な連歌師で、宗祇の最後の旅にも同行した。本書は宗祇の庭訓をもとにし、その校閲加筆を得たもので、風体・てにをは付などの付合の種々相を作例・例句をひいて解説したもの。
45. 新撰犬筑波集
(しんせんいぬつくばしゅう)
慶長頃刊 1冊 宗鑑編
俳諧選集。宗鑑(1539年頃没)によって編集された『誹諧連歌抄』が後に、連歌の『新撰菟玖波集』に対応して名付けられたもの。犬とは連歌に対する俳諧としての卑称の意をこめる。作者名は記されていないが、宗祇の作と認められるものがある。
46. ささめごと ささめごとの画像
(ささめごと)
元禄3年(1690)刊 2巻2冊 心敬著
心敬の代表的連歌論書。寛正4年(1463)郷国紀伊国名草郡の八王子社に参籠中、土地の連歌の好士の求めに応じて筆を執ったもので、和歌と連歌を同一視して、『新古今和歌集』や和歌の師正徹の歌風を連歌の理想としている。宗祇たち連歌師に直接大きな影響を与えたばかりでなく、芭蕉の門人たちへの教えにも共通する考えが見られる。
47. 心敬僧都庭訓
(しんけいそうずていきん)
天正2年(1574)写 1冊 心敬講 兼載著
著者である兼載が若年の頃に、師心敬から受けた連歌の心構えに関する教えを筆録したもの。初心の心持ちから具体的に作句の心のありかたを説いたもの。
48. 連歌発句集
(れんがほっくしゅう)
室町末期写 1冊
春の「元日」「立春」「梅」から冬の「歳暮」「雑冬」に至る四季の素材の項目を立て、それぞれについて発句を挙げたもの。例句として採られた作者は宗砌・心敬・専順ら、いわゆる連歌七賢の他に兼載・宗長の名も見える。編者・成立年未詳。

 

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