第九回 1985年4月 古典文学へのいざない

 

「古典文学へのいざない」 展示について

 今回の展示は新入生を対象に、これまで高等学校の教科書や受験勉強中心に親しんできた日本の古典文学の原典から、物語、説話物語、歴史物語、軍記物語等の五十八点を選び展示した。
 私達の目に触れる古典文学は活字印刷による、頭注、解説つきあるいは訳本の場合がはとんどである。しかし少くとも近世以前にあっては原典から直接写しとった写本や、その転写によって読み継がれたし、かなり印刷術が進んだ近世以後においても、木版印刷による限られた部数が出版されたにすぎなかった。
 この展示では、本学が所蔵する写本・刊本と現在の出版物を比較したが、これによって時代の推移にともなう古典享受・過程の一端が辿り得るであろう。またこの原典に接した機会に、日本の古典籍への新たな関心がい喚起されれば幸いである。

   昭和六十年四月

 

1. 竹取物語

 

写本 一冊

袋綴 濃縹色紙表紙 雁皮紙(色変り料紙) 23.1×17.5糎 9行 61丁 外題中央
(江戸初期写)

 

2. たけとり物語

 

刊本 二巻二冊

袋綴・紙表紙 26.3×17.9糎 四周単辺 匡郭内19.7×14.5糎 11行 題簽左肩「竹
とり物語」 版心「たけ上(下)」及丁数 絵入本
刊記「元禄五年壬申霜月 花洛二条鳥丸 長尾平兵衛新刊」

 

3. たけとり物語

 

刊本 二巻一冊

袋綴 紙表紙 26.1×18.5糎 四周単辺 匡郭内19.9×14.3糎 11行 題簽左肩「竹
取物語」 板心「たけ 上・下」及丁数 絵入本 「日野庫」 「富岡氏蔵書記」印
(富岡鉄斎書入本)

 

4. 伊勢物語

 

写本 一冊

胡蝶装 鳳凰織文紺地表紙 見返金泥雲霞模様 楮紙 20.8×15.6糎 1面9行 題簽左肩
(室町中期写)

 

5. 伊勢物語

 

写本 一冊

胡蝶装 金泥紙表紙 鳥の子紙 9行 85丁 題簽左肩
(室町中期写)

 

6. 伊勢物語

 

写本 一冊

袋綴 黄橡色紙表紙 見返し金泥布目紙 楮紙 25.3×17.7糎 10行 54丁 題簽中央
(江戸初期写)

 

7. 伊勢物語

 

写本 一冊

袋綴 紙表紙 鳥の子 26.7×18.4糎 8行 52丁 題簽・外題共なし
(真名本 江戸初期写)

 

8. 伊勢物語

 

写本 一冊

袋綴 綾織牡丹唐草文表紙 見返金切箔散らし 楮紙 25.2×20.5糎 10行 61丁 題簽中

極札は小倉将監実澄筆書入を飛鳥井栄雅とする。
(室町中期写)

 

9. 伊勢物語

 

写本 一冊

胡蝶装 紙表紙 楮紙 18.3×16.4糎 9行 80丁 外題中央
(室町末期写 片仮名混り傍注有り)

 

10. 伊勢物語

 

刊本 一冊

袋綴 紙表紙 26.4×17.9糎 10行 51丁 題簽・外題共なし 「林氏文庫」印
(群書類従本 三百七)

 

11. 大和物語和歌

写本 二巻一冊

袋綴 紺色紙表紙 雁皮紙 25.4×17.7糎 13行 85丁
(江戸初期写 題簽中央「古筆大和物語和歌」とあれど大和物語本文)

 

12. 大和物語

 

刊本 二巻二冊

袋綴 稲妻菱文地牡丹花文様紙表紙 27.5×17.8糎 12行 題簽左肩 「渋江家蔵子孫永寶」

刊記「寛永十六年二月吉辰」
(古活字本)

 

13. やまと物語

 

刊本 二巻二冊

袋綴 万字つなぎ地牡丹花文様空押紙表紙 27.1×18糎 四周単辺 12行 題簽左肩 「藤廣
當記」 「加藤氏図書記」 「観魚楼」印
刊記「慶安元孟春仲旬 二条通玉屋町村上平楽寺開板」
(朱・墨書入れあり)

 

14. 宇津保物語

 

写本 十六巻二十冊

袋綴 紺地に金泥の草花文様紙表紙 27.0×19.4糎 9行 題簽左肩 「青谿書屋」印

 

15. 宇津保物語

 

刊本 二十巻三十冊

袋綴 紙表紙 27×19糎 四周単辺 匡郭内19.8×15.4糎 11行 題簽左肩「うつほ物語」
絵入本 「雲煙家蔵書記子孫永保」印

 

16. 宇津保物語

 

刊本 三巻一冊

袋綴 紙表紙 24.5×16.5糎 四周単辺 匡郭内16.4×11.4糎 10行 92丁 題簽
左肩「うつほ物語」 絵入本
刊記「洛陽今出川 林和泉掾開板」
(俊蔭巻 板心「万治三庚子歳仲秋日」)

 

17. おちくほ

 

写本 三巻三冊

袋綴 紙表紙 27.7×18糎 10行 外題左肩 「坪井長成」印
(八書校合書入れ本)

 

18. 落くほ物かたり

 

刊本 四巻四冊

上田秋成序 袋綴 すぎぞめ色布目紙表紙 25.7×18.3糎 10行 題簽中央
刊記「寛政十一年巳未仲春日 書林 京都 額田正三郎 江戸 須原茂兵衛 同 西村源七 同 西村
宗七 大坂 葛城長兵衛」

 

19. 落窪物語

 

刊本 六巻六冊

上田秋成序 袋綴 きくちなし色布目紙表紙 25.5×18.1糎 10行 題簽中央
刊記「寛政十一年已未仲春日 書林 京都 額田正三郎 江戸 須原茂兵衛 同 西村源七 同 西村
宗七 大坂 葛城長兵衛」
(伊藤光中校合書入本)

 

20. 源氏物語

 

写本 五十四巻五十四冊

紫式部著 冷泉為清筆 袋綴 紺色紙表紙 楮紙 23.1×17.6糎 8行 題簽左肩
(神田道伴の極札あり 江戸初期写)

 

21. 源氏物語

 

写本 五十四巻五十四冊

紫式部著 胡蝶装 紺色紙表紙 雁皮紙 24×17.9糎 題簽中央(真緋色地に金泥絵)
(江戸初期写)

 

22. 源氏物語

 

 写本 五十三巻五十三冊  闕

紫式部著 胡蝶装 紙表紙 23.5×17.3糎 10行 題簽中央
(「空蝉」欠)

 

23. 源氏物語

 

写本 九巻九冊  闕

紫式部著 伝明融筆 胡蝶装 空押文様紙表紙 鳥の子 21.9×14.4糎 8行 題簽なし
(「桐壺」「帚木」「花宴」「花散里」「若菜上」「若菜下」「柏木」「橋姫」「浮舟」所蔵
 各巻共表紙中央に巻名を記した仮の小片を付す)

 

24. 源氏物語

 

刊本 九巻九冊  闕

紫式部著 紙表紙 26.7×18.9糎 11行 字高21.9糎
(所蔵巻名「須磨」「槿」「胡蝶」「槇柱」「藤の妻葉」「早蕨」「浮舟」「蛉」「手習」古活字本)

 

25. 源氏物語

 

刊本 三巻三冊 闕

紫式部著 袋綴 濃蘇芳色紙表紙 楮紙 26.6×18.7糎 11行 外題中央
(所蔵巻名「桐壺」 「末摘花」 「榊」 古活字本)

 

26. 源氏物語

 

写本 一冊  闕

紫式部著 伝二条為氏筆 胡蝶装 桐鳳凰文金襴布表紙 見返金銀泥による霞引金砂子銀切箔野毛文様
雁皮紙 23.4×15.4糎 10行 221丁 題簽中央 「素履居蔵」印
(所蔵巻名「やとりき」 鎌倉末期写 箱書、極札四通に為氏筆、為教外題とあり。)

 

27. 多武峯少将物語

 

写本 一冊

清水浜臣筆 袋綴 紙表紙(原表紙の上に改装表紙) 26.8×18.5糎 10行 68丁 
外題中央「多武峯少将物語・初瀬物語・鳴門中将物語・物あらそひ」 (但原表紙)
「清水浜臣蔵書」「泊洦舎蔵」「洒竹文庫」印
(「初瀬物語」 「鳴門中将物語」 「物あらそひ」を含む。朱・墨書き入れあり。)

 

28. 多武峯少将物語

 

刊本 一冊

袋綴 黄橡色布目紙表紙 26.4×17.9糎 10行 33丁 題簽左肩「群書類従 四百八十二」
「不忍文庫」印
(「鳴門中将物語」を含む)

 

29. さころも

 

写本 四巻四冊

袋綴 紗綾地に唐草文様空押紙表紙 鳥の子紙 27.2×19.2糎 13行 題簽中央 「岡田氏図
書記」印

 

30. 狭衣

 

刊本 五冊

袋綴 二重蔓唐草文様雲母絵紙表紙 22.3×15.7糎 四周単辺 匡郭内17×11.5糎 11行
題簽左肩「さころも」 板心「狭衣」及丁数 絵入本
刊記「寛政十一年已未ノ秋 寺町二条下ル丁 親信改名 三木安兵衛 承應三甲午歳季秋吉辰 烏丸通
二条上ル二町目 三木氏親信梓行」 (五冊の内訳は、本文四冊、「下ひも」一冊)

 

31. 狭衣

 

刊本 十二冊

袋綴 紺色紙表紙 24.8×15.4糎 四周単辺 匡郭内17.1×11.6糎 11行 題簽中央
「さころも」 板心「狭衣」及丁数 絵入本
刊記「承應三甲午歳季秋吉辰 小川通一条上町 田中理兵衛板行」
(十二冊の内訳は、巻一・二を上下本、巻三・四を上中下本、その他「狭衣系図」 「狭衣目録並年序」
各一冊)

 

32. 濱松中納言物語

 

写本 四巻四冊  闕

袋綴 はなだ色布目紙表紙 26.6×18.4糎 10行 題簽左肩 「黒川真頼蔵書」 「黒川真頼」
「黒川真道蔵書」印

 

33. 濱松中納言物語

 

刊本 四巻八冊

袋綴 向い鶴文様空押紙表紙 25.9×18糎 四周単辺 匡郭内19.3×14.9糎 10行 題簽
左肩(「丹鶴叢書 濱松中納言物語」) 版心「丹鶴叢書」及巻・丁数
刊記「京都三条通升屋町 出雲寺文次郎 大阪心齋橋通安堂寺町 秋田屋太右衛門 江戸芝神明前
岡田屋嘉七 同鍛冶橋五郎兵衛町 中屋徳兵衛」

 

34. 和泉式部物語

 

写本 一冊

袋凝 稲妻文地に牡丹花文様空押紙表紙 雁皮紙 27.3×20糎 10行 62丁 題簽左肩 「青
谿書屋」 「尚舎源忠房」 「文庫」印 
(江戸初期写)

 

35. 和泉式部日記

 

刊本 一冊

袋綴 黄橡色の布目紙表紙 楮紙 26.4×18.1糎 10行 50丁 題簽左肩 「群書類従 三
百二十」 「下総崎房秋葉孫兵衛蔵書」 「秋葉義山之印」印
(朱書入れあり)

 

36. 堤中納言

 

写本 十巻十冊

袋綴 四角渦巻地に一重蔓牡丹唐草文様空押紙表紙 雁皮紙 27.1×19.9糎 10行 題簽左肩
「堤中納言」の外に各巻名 「島原秘蔵」 「尚舎源忠房」 「文庫」 「青谿書屋」印

 

37. 堤中納言

 

写本 十巻二冊

袋綴 藍色市松文様紙表紙 雁皮紙 27.1×20.2糎 10行 題簽中央 「黒川真頼蔵書」 「黒川
真道蔵書」 「吏部大卿忠次」 「文庫」印
(江戸初期写)

 

38. とりかへばや物語

 

写本 四巻四冊

袋綴 小菊文紙表紙 26.4×18.8糎 11行 題簽左肩

 

39. 取替ばや物語

 

写本 一冊

袋綴 墨流し紙表紙 薄様雁皮紙 15.0×21.5糎 25行 119丁 外題中央
(江戸末期写)

 

40. すみよし物語

 

刊本 二巻二冊

袋綴 紺色の鳥菱つなぎ文様紙表紙 楮紙 26.3×18.4糎 11行 題簽左肩 板心「住吉」及
丁数 「小泉氏蔵書之印章」印
刊記「寛永九年壬申十二月吉日中野氏道也梓」

 

41. 住吉物語

 

刊本 二巻二冊

袋綴 紺色紙表紙 楮紙 26.6×19.1糎 12行 題簽左肩 板心巻及丁数 「阿波國文庫」
「不忍文庫」印

 

42. 住吉物語

 

写本 一冊

胡蝶装 紺色紙表紙 雁皮紙 24.5×17.5糎 9行 62丁

 

43. すみよし物語

 

写本 三巻三冊

胡蝶装 紺地に金泥松竹梅文様紙表紙 見返金銀切箔散らし 23.5×17.1糎 10行 題簽左肩
(奈良絵本)

 

44. 日本國現報善惡靈異記

 

刊本 三巻一冊

景戒著 袋綴 縹色布目紙表紙 楮紙 26.9×19.2糎 10行 85丁 題簽左肩「日本靈異
記 全」 「篁園文庫」 「芽垣内蔵書」印

 

45. 日本國現報善惡靈異記

 

刊本 三巻三冊

袋綴 黄橡色布目紙表紙 25.6×17.8糎 10行 題簽左肩「群書類従 四百四十七」 「下総
崎房秋葉孫兵衛蔵書」 「秋葉義山之印」 「高橋蔵書」印
(朱書入れあり)

 

46. 今昔物語

 

刊本 三十巻三十冊

井澤蟠竜考訂 袋綴 麻の葉文地に梅桜と雀に竹の葉丸文紙表紙 22.2×15.7糎 四周単辺 匡
郭内18.2×13.3糎 10行 題簽左肩「和朝今昔物語」 版心書名及巻・丁数 絵入本
第一巻の刊記「享保五庚子年孟春穀旦 平安六角通御幸町西入町 柳技軒茨城多左衛門」 第三十巻の
刊記「享保十八年丑孟春吉日版行 京都 六角通御幸町 茨城多左衛門 江府 日本橋南二町目 小川
彦九郎」

 

47. 今昔物語集

 

写本 二十二冊  闕

袋綴 渋引紙表紙 26.0×18.4糎 12行 題簽左肩

 

48. 宇治拾遺物語

 

写本 五冊

袋綴 紺色紙表紙 楮紙 26.3×20糎 12行 題簽・外題共なし
(江戸初期写)

 

49. 宇治拾遺物語 

 

刊本 十五巻十五冊

袋綴 紙表紙 楮紙 22.7×16糎 四周単辺 匡郭内16.8×11.6糎 8行 題簽中央
版心「宇治」及巻・丁数 絵入本 「愛岳麓蔵書」 「藤井」印
刊記「萬治二己亥年初冬日 洛陽今出川書堂 林和泉掾板行」
(朱書入れあり)

 

50. 宇治拾遺物語

 

刊本 十五巻五冊

袋綴 紙表紙 楮紙 21.2×14.4糎 四周単辺 匡郭内16.8×11.6糎 おもに11行
題簽左肩「うちしふい物語」 版心「宇治」及巻・丁数 絵入本
「黒川真道蔵書」「黒川真頼蔵書」「黒川真頼」「萩家もと」印
(朱書入れあり)

 

51. 古今著聞集

 

写本 二十巻十冊

橘成季編 袋綴 黄橡色紙表紙 楮紙 27.3×20糎 10行 外題中央 「青谿書屋」印
(江戸初期写) (朱書入れあり)

 

52. 古今著聞集

 

刊本 二十巻十五冊

橘成季編 袋綴 はなだ色布目紙表紙 22.1×15.4糎 四周単辺 匡郭内16.6×12.9糎
10行 題簽左肩 版心「古今」及巻・丁数 絵入本 「牟田口蔵書」印
刊記「元禄三庚午年正月開板 明和七庚寅年三月求板 大坂書林 心斎橋筋順慶町 柏原屋清右衛門
同 河内屋茂八 書林(以下略)」

 

53. 栄花物語

 

刊本 四十巻二十一冊

袋綴 紺色布目紙表紙 15.7×11.1糎 四周単辺 匡郭内11.5×8.6糎 11行 題簽中
央 板心巻数及丁数 「うめのや」印

 

54. 栄花物語

 

写本 四十巻二十一冊

袋綴 紙表紙 20.3×12.8糎 11行 題簽中央

 

55. 大鏡

 

写本 六巻六冊

胡蝶装 紺紙金泥絵紙表紙 見返金泥下地に鳳凰唐草文様 雁皮紙 24×18.2糎 10行 題簽左肩
「青谿書屋」印 (江戸初期写)

 

56. 大鏡

 

刊本 八巻八冊

袋綴 紺色紙表紙 27.5×19糎 11行 題簽中央 「慈廣圖書」 「讀牡草堂」 「岸本家蔵書」印 

 

57. 平家物語

 

刊本 十二巻六冊

袋綴 水紋に飛鶴文様紙表紙 25.7×18.7糎 四周単辺 匡郭内22×16.1糎 13行 題
簽左肩 板心「平家」及巻・丁数 絵入本 「都文庫」 「十世一中」 「都一中」 「仙とちう書」印
刊記「此平家物語一方検校衆以吟味令開板之者也 明暦二年丙申九月吉日 霜月吉日」

 

58. 平家物語

 

刊本 十二巻十二冊

袋綴 紙表紙 25.7×18.9糎 四周単辺 匡郭内22.2×16.7糎 15行 題簽左肩「新
板 平家物語」 板心巻及丁数 絵入本
刊記「此平家物語一方検校衆以吟味令開板之者也 天和二壬戌年六月吉日 開板」

 

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