糖鎖科学研究所
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糖鎖研究について
20世紀後半バイオテクノロジーが急速に発展し、人類にとって様々な可能性が開けてきました。その最先端にあったのは遺伝子工学であり、また現在では遺伝子工学を基礎としたタンパク質工学です。21世紀になり、ヒトゲノムの解析が終了した今、ポストゲノムとしての研究の今後の中心となるのは糖鎖工学であるという認識の基に、本施設は糖鎖工学の基礎研究と先端的・戦略的な応用研究の発展の拠点となることを目的として設立されました。
また本施設は、産学共同の研究拠点として次世代の研究者・技術者の育成を目指し、それを実践する場所としても利用されます。

糖鎖工学とは
糖鎖とは
糖鎖イメージ生体を構成する3つの鎖(核酸・タンパク質・糖鎖)のひとつで、第3の生命鎖ともいわれています。近年、遺伝子工学やタンパク質工学の発展によって生体内での様々現象の分子機序が明らかになりつつあります。しかし、生物が作るタンパク質の大半がガラクトースなどの糖鎖を持った糖タンパク質として存在しています。また細胞の表面にはこれら糖タンパク質や糖脂質が糖鎖を細胞の外則に向けて存在しています。従って、遺伝子およびそれを鋳型として作られるタンパク質の機能を理解し、細胞の集合体である生物を理解するためには、糖鎖のもつ情報を解明する必要があります。
糖鎖の役割
糖鎖はタンパク質や核酸と異なり遺伝子の直接産物ではなく、また鋳型も存在しないので、その構造はタンパク質や遺伝子のように厳密ではありません。これは生命にとっては必須のものではないように.一見思われます。しかし様々な疾患に伴い細胞や組織の糖鎖構造が変化することは以前から良く知られており、遺伝子工学を駆使して作った(タンパク質部分は同じだが糖鎖の構造が天然のものと異なる)組換え糖タンパク質の生理作用が、本来の糖タンパク質と異なっていることも判ってきました。そこで糖鎖のもつ情報は多細胞生物を構築している細胞社会の維持のような機構に関連していると考えられるようになっています。
実際、最近の糖鎖生物学の研究から細胞間の認識や接着、増殖制御や情報伝達などの過程で、糖タンパク質や糖脂質がシグナル分子として働いていることが明らかにされています。このような糖鎖の情報や機能は遺伝子工学・タンパク質工学を含む生命工学の発展にとって重要な役割を果たすに違いありません。このような考えのもとに糖鎖工学という新しい概念が日本で生まれ、政府の次世代産業基盤技術として取り上げられるに至っています。糖鎖工学の目的は、糖鎖の情報を解明し、それを様々な産業に応用してゆくことです。


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