線形代数,及び微分積分学は,大学において学ぶべき数学の車の両輪をなす。この講義
では,それら両分野の主に導入部を論理的思考法と計算法の習得に重点を置いて授業を行
う。
線形代数の中心的な題材として行列・行列式があり,その理論体系を基礎として連立1
次方程式の体系的解法が与えられる。実用上、学問上の数量を扱う様々な問題が連立1次
方程式の求解に帰着されることもあり、行列・行列式は、自然科学はもとより社会科学、
情報科学などのあらゆる分野において必要とされ,利用されている。生物学部の各専門分
野を学ぶための土台として、当然学んでおくべき内容である。
いっぽう,様々な現象に現れる数量の「変化の割合い」を表す概念である微分は,数量
間の関係や変化を記述し解析するための有力な道具である。微分とその逆演算である積分
とを主テーマとする数学体系である微積分学は,これも理系の学生としてはぜひとも修得
しておくことが望まれる。
本授業の前半では、行列、行列式、連立1次方程式の解法、及び関連の話題について講
義する。高校で行列、行列式などについて学んできていることは、前提としない。本授業
の後半では、1変数の関数について,各種関数の性質,極限,微分係数,導関数,合成関
数の微分法,逆関数の微分法,関数のグラフなどを系統的に学習する。積分については,
不定積分,定積分について簡単に説明するにとどめる。授業の全体を通して,大学での関
連科目の学習に総合的に応用できるようにすることを目標として、数学的原理の解説と問
題演習に力を入れる。数学的厳密さにとらわれることなく基本的な考え方を身につけると
共に,早く正確に結論を導くことができるよう計算能力の向上を目指す。履修者は,1問
でも多くの問題に主体的に取り組み,疑問があれば友人や担当教員に尋ねること等によっ
て,完全に理解できるまで追究する姿勢を身につけて欲しい。
【本科目と卒業後のキャリアとの関係】
学ぶ力の基礎的訓練として本科目の勉強と練習を実行すれば、数学の応用力と基本的な
学習能力が確実に高めることができる。また、基本的な学習能力を高めることは、卒業後
の継続学習と職場におけるキャリア向上に役立てるものである。
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